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おかあさんといっしょ


「ボルト2本とプレート1個が急に新しく入って来たから、骨や筋肉達がみんなビックリしてるんだよ。『オマエ見ない顔だな、どこの組のモンだ?』って。

ボルト達も今、仲間に入れてもらうために自己紹介とかしてがんばってるとこだろうから、変な感じがして氣持ち悪いだろうけど馴染むの待ってあげて。

お母さんのために、彼らにとっては新世界の体内に突入してくれたトリオなんだからさ」

母︰「そうか。そう考えると何だか楽しくなってくるね」

大腿骨骨折から6日目の朝、医師に「ご高齢で骨密度も低くパーキンソン病もかなり大変な様子ですから、万が一の場合も覚悟しておいてください」と言われた手術を無事乗り越えた母。

全身麻酔が切れ酸素マスクが取れた後、患部の違和感を訴える母と話しながら、目を見合って会話できる有り難さに泣きそうになる。

そして、ハタと氣づいた。

こんなふうにモノを人格化して話すのは、幼い頃、母が私にそうやって話をしてくれていたからだ、と。

この会話のやり取りは、役どころが入れ替わってはいるものの、幼い頃の私と母の風景にそっくりだ、と。

小児喘息だった頃。新宿・四畳半アパートの住まい前にて。


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